『パキスタン北部地震災害 TDMAT活動報告 第09報』

2005年10月24日 24:00

本隊活動報告
昨日の報告
本隊は、マンセラ[Mansehra]のDistrict Headquarter Hospital(DHQ)で活動を継続。
先遣隊は アブダバート[Abudabatto] の アユーブ[Ayub]病院を訪問調査。
午後から一番大きな被害をうけたという バラコット[Balakot]の町を全員で視察。
ペシャワールにある脊椎の専門病院への専門家派遣の準備を進めるとともに、昨日に引き続きUNミーティングに参加。

District Headquarter Hospital(DHQ)
TDMATは、昨日午後に引き続き初診を含む総合外来を担当する。
患者の多くはガーゼ交換等の外傷の患者さんで、09:00から14:30までで35名を診察。

夜のミーティングにおいて、担当した浅井医師、渥美医師から診察の状況について話がでる。
診察は、通訳を入れての治療であり、また、地元医師のギプスやシーネ固定は肢位が悪く拘縮(こうしゅく)が懸念されるようなものが多く、医療技術についても地元の医師・看護師に指導しながらの診察である。

ペシャワールから6時間かけて看護学生が多数ボランティアに来ていたり、ボーイスカウトのような若い男性のボランティアなどがいたりと、日曜日ということもあるのか医療スタッフ以外の人手はかなりある。また、ラホール市[Lahor] から大学病院の教授がきて一緒に写真をとって欲しいと言われたりといろいろハプニングの多い診察のようだ。

アユーブ[Ayub]病院
観光大臣から要請のあった、アブダバート[Abudabatto] にある アユーブ[Ayub]病院(大学病院)を訪問。
観光大臣からの要請であり、医療チームを派遣することができる旨説明をする。
Pref. SAJJAD(Chief Executive)は不在で、Dr. IFTIKHAR(Deputy Medical Superintendent ) と面談。

現在、パキスタン国内からの多数のボランティアスタッフがおり、スタッフは充足し始めている。
日本からの応援にたいして感謝をするとともに、被災地内には医療ニーズがあると聞いているといわれる。

バラコット[Balakot]
今回の地震で一番大きな被害をうけた Mansehra から36Km北にある山間部の谷あいの町バラコット[Balakot]をチーム全員で視察。

町の建築部の殆どが破壊されている。一部残っているように見えた建物も1階が押しつぶされて2階が残っているだけだったり、
斜面に建っていた建物が地盤の崩壊とともに崩れ落ちていたりと、かなりの死者がでたことが一目瞭然である。

バラコット[Balakot] は軍の管理下にあり、各国のレスキューチームや医療チーム、種々のボランティアチームは軍と協力しながらの活動をしている。
我々も、軍の責任者である Captain CAR KAIYAR と面談、さらに、UN、Medecin Du Monde(フランス)のスタッフと情報交換する。

現在、バラコット[Balakot] の先16Kmの Sargar/G H NOL という地域まで道が開通、開通した先にベースをおいて、 そこから巡回診療(モバイルクリニック[Mobile Clinic]と表現)を展開している。
車で行けるのは道沿いだけで、ベースからは徒歩で山間・斜面に点在する家々を巡回している。
Medecin Du Monde は、医師2名、看護師1名、助産婦1名で1チームを構成、2チームが展開して、活動は軍の案内人とともに活動。
ここでは家の周りに田畑と放牧地があり、隣の家とは徒歩で30分以上かかり、その家々をまとめて集落と呼んでいる。
30~100名(1チーム・1日)を訪問している。重傷者はすでにヘリ等で運び出されており、残っているのは軽症者や栄養不良などによる弱っている人が中心。
徐々に患者数は徐々に減っているが、この先道の開通とともにベースを移しながら奥地へ展開していくとのこと。

HIRAI Reiko(Pease Winds Japan)氏からの情報では、山間部はイスラム教の影響が強いところで、女性の被災者は男性に手足までしか見せていない。
そのため、体に傷があっても診れないことが多く、女性のチームが必要ではないかとのこと。
我々もこのような モバイルクリニック[Mobile Clinic]に参加をすべきと思う。女性のスタッフが求められている。

ペシャワールの脊椎の専門病院
観光大臣 DR.G.G.JAMAL(Federal Minister for Tourism)から要請のあった、ペシャワールの脊椎の専門病院への専門家派遣を進めることとなる。
詳細な状況および必要なスタッフの人選のため、実際に病院を視察し状況把握をすることとなり、スケジュール等の調整のため、あらためて観光大臣との面談を依頼。
日程等の返事は明日に来る予定。

UNミーティング
Mansehra Hotelにて行われているUNミーティングに、浅井医師、渥美医師が参加。

明日の予定
09:00 District Headquarter Hospital での診察開始
浅井医師、渥美医師、伊達看護師、松本調理師

16:00 Mansehra での WHOミーティングに参加
19:00 バラコット[Balakot] での医療チームのミーティングに参加