『パキスタン北部地震災害 TDMAT活動報告 第08報』

2005年10月23日 21:00

本隊活動報告
昨日の報告
本隊がマンセラ[Mansehra]のDistrict Headquarter Hospital(DHQ)で活動を開始する。
観光大臣と面談。観光大臣より支援要請とアドバイスを受ける。
製薬会社と面談、薬品リストをもらうとともにリストにないものの購入先紹介を依頼。
UNミーティングに参加、ミーティングの後Peace Wings Japanさんと情報交換を行う。

District Headquarter Hospital マンセラ市
最初に訪れた水曜日(10/19)とは状況がかなり変化している。いつものことながら、被災地における変化の早さには驚かされる。
前回訪問した際、保健大臣とWHOの合同チームが視察におとずれており、テレビクルーも同行していたことでニュース等に流れたため当病院への人的支援も増えたものと考える。

手術室
10/19にはドイツチームが手術室を運営し、かつ、Mobile ICUも設置予定であったが、本日はボランティアのパキスタン医師チームが手術室を運営していた。
医師は整形外科6名一般外科4名であった。

手術室1室に手術台2台、医師10名医師は既に余っているので最初1件(全麻・上腕骨骨折の患者さん)を手伝ったのみ。全身麻酔は1日3,4件しかできてない。

Penthazin,Thiopental,SCCで導入挿管後非脱分極性筋弛緩薬とHalothan,N2Oを使用。
人工呼吸器はなく手もみ。SaO2モニターあり、BPは手動で測っている手術(麻酔)を手伝ったのち、外来を担当する。

外科外来(15:00-19:30)
手術室は人手が充足していると判断し外来を担当。
外科系20名ほどが新鮮外傷の縫合や術後のフォローなどを行う。

外来に関しては初診・再診ともに部門を担当。通常は9時~14時まで、それ以外にも緊急を24時間受け付けている。

我々も夜間対応できると説明し、夜間患者さんが来れば呼ぶように依頼する。
夜病院に来る習慣がないのか昨夜は起こされなかった。

UNmeeting
Mansehra Hotelにて行われているUNミーティングは、全体ミーティングでした。
Helthだけでなく、Education & Shelter、Nutrition、Water & Sanitation、Protection、Logisticの各部門からの最新情報を受けるものです。
個別の部門のミーティングのうちHelthに関してはWHOが統括(毎週、月・水・金にWHOの事務所)そこに参加するようにTDMATに要請がありました。
我々としては月曜日のミーティング前に一度、個別で情報交換を予定。

観光大臣と面談
観光大臣 DR.G.G.JAMAL(Federal Minister for Tourism)
当初の予定では、夕方のUNミーティングの後に面談予定であったが、大臣がイスラマバードに帰っていたため、急遽10:40より面談。

まずは徳洲会の説明、理事長の幼い頃の体験から今の徳洲会があり、「命だけは平等だ」という理念の下に今の徳洲会がある。災害医療もこの理念に基づいて活動しており、我々がパキスタンに来たのは在留邦人のためではなくパキスタンの人々のためですと説明。

大臣から、徳洲会としてはどのようなスタイルの災害医療を希望しているのか?
被災地の山間部の村々にヘリで飛びGeneralistのような医療をしたいのか、地元の病院などでプロフェッショナルの医療をしたいのか?などと質問される。

徳洲会としては、したいことをするのではなく、パキスタンの人々が困っていることをできるだけやりたいと話し医療ニーズとして何が不足しているのでしょうかとお聞きしたところ…

「それでは一番困ってるのは、脊損の患者が多くその治療を進めるのに困っている。脊椎の専門病院はペシャワールにあり、アフガニスタンの戦争を機ICRC(国際赤十字)や各国政府が作って運営していたがアフガニスタンの戦争がおわって皆が引き上げ閉鎖していた。今回、再開したが専門家・物資・資金が不足している。このような話は日本政府などにもっていく話であることはわかっているが、一番困っていることはこのようなことだ」

ということでした。「できるとしてどの部分ができるのかを本部で検討します。」と返答。

次に、大臣がまず聞いてきたのはモバイル[Mobile]病院を持っていないかでした。 特に、発電施設から手術室まであるような物ということで、イメージとしてはデンマークチームが使っていたようなものと思われます。

徳洲会は残念ながら持っていないと説明しました。

最後要請されたことは、アブダバート[Abudabatto,Abbottabad]にあるアユーブ[Ayub]病院では、入院患者の手術やマネージメントに困っている情報がある。
韓国チームとUKのイスラム系チームが入っているが韓国チームは外来のみとの情報。 そのためAyub病院の責任者とニーズ等について打ち合わせするということになり紹介して頂きました。