2月21~22日に石川県金沢市で「第17回日本集団災害医学会総会・学術集会」(会長:和藤幸弘・金沢医科大学救急医学教授)が開催された。

今学会のメーンテーマは「Disaster Science(災害科学)」。昨年3月11日に発生した東日本大震災を受け、会場を増やすとともに企画も大幅に変更しての開催となった。 今回、NPO法人TMATは、計13題を発表した。一般演題のうち東日本大震災関連に設けられた「TMAT」というセッションで、メンバーの5人が6演題を報告。同セッションでは、岸和田徳洲会病院(大阪府)の篠﨑正博・救命救急センター長(和歌山県立医科大学名誉教授)が座長を務めた。 TMATのメンバーは 東日本大震災で広範に医療支援活動を展開した中で、宮城県気仙沼市の本吉病院と階上中学校、本吉郡の南三陸町ベイサイドアリーナ、岩手県大船渡市のリアスホールでの事例をそれぞれ報告。さらに活動中に構築された隊員派遣システムの概要や、地震発生直後から5月3日まで、54日間で903人(延べ5781人)のスタッフと32台の救急車を送るなどした現地支援活動を総括した。 セッションを終えて座長の篠﨑センター長は、「TMATが組織だって活動していることがよくわかる内容の発表でした。これまでの積み重ねが、東日本大震災での迅速な医療支援につながったと感じました。素晴らしいセッションでした」と振り返った。

橋爪TMAT理事は、次のように語る。「私自身は、医療支援活動の全体像がわかっていましたが、各活動拠点に入っていたメンバーは、別の場所ではどのようなステップで活動が組み立てられ、医療機関とどのように提携したのかなど、その詳細がわからなかったと思います。 学会で多くの方々に聞いてもらうことも大事ですが、会場には他のTMATメンバーもいました。そういう意味では各拠点の活動と総括が報告され、その内容や全体像をメンバーが再確認できたことは、TMATとしてもよかったのでは」 続けて、「セッションの一つをTMATがもらえたのも大きなことだったと思います。私たちの存在が認知され、東日本大震災ではそれだけの規模の活動ができたということではないでしょうか。これからも、評価を落とすことにならないように活動します」と話した。

座長の篠﨑センター長(右から3人目)と発表したTMATメンバー

座長の篠﨑センター長(右から3人目)と発表したTMATメンバー


座長の篠﨑センター長(右から3人目)と発表したTMATメンバー

情報システムについて発表を行う荒尾看護師

(文責 TMAT事務局 野口 幸洋)