『アチェ総合病院(Zainoel Abidin病院)の状況』
アチェ総合病院(Zainoel Abidin病院)
- アチェ州最大の州立病院(地方政府立病院)で被災前には400床が稼動。
- 津波で1階部分が流出し、現在は100床のみ稼動しているが満床状態で近日中に200床稼動の予定。
- 被災前には、700人の職員が勤務していたが20%が津波で死亡した。生存している職員の多くも家族や家屋を失った精神的なトラウマのために出勤できていない状況で現地職員は約100名のみが出勤可能。
- 被災前には医師は60名が勤務していたが10名が津波で死亡。院長を含む3名の医師を除いて生存している他の医師はすべて出勤していない。現地医師がほぼいない状況のために病院の機能は各国の緊急援助隊が担っている。
- 被災前に5台あった透析器はすべて流出し現在透析医療はできない。
- 検査機器も流出し、心電計も電解質もチェックできない状態で診療は継続されている。
- ICUは心筋梗塞、マラリア脳炎、破傷風、髄膜炎等の重症患者で満床でありながらベッドサイドモニターも流出したためにモニターのない状態で管理されている。
- 内視鏡も流出したために吐血にも対処できていない。
- ベンチレーターはすべて流出したが1台のみが外国からの供与で稼動。
アチェ総合病院(Zainoel Abidin病院)での活動予定
- インドネシア政府、アチェ州政府による病院復旧までの診療機能を担う。
- アチェ州内の最終病院であるために州外や国外への転送は例外的にあっても原則として現地で完結する医療を提供する必要がある。
- 現地に派遣される隊員の医療上の安全を担保するためにも完結する医療が必要。内科・外科は必須。
- 完結する医療の実現のための薬剤・医療機器・検査機器を提供予定
透析器、ベッドサイドモニター、心電計、検体検査機器・超音波診断、ドパミン・ドブタミン等による循環管理のためのシリンジポンプなど
アチェ総合病院(Zainoel Abidin病院)での活動の意義
- 今回の活動は大規模災害時の緊急援助とは異なる。
- 存在しなかった医療を立ち上げる活動ではなく、存在した医療を復興させる活動である。
被災前にできなかった医療には手出しをしない。 - 緊急援助は行うが災害による長期化した医療の破綻には関知しないというのでは、「生命だけは平等だ」の徳洲会グループの理念に反する。
特にバンダ・アチェは徳洲会グループが関わりを持った土地であり、関わりのある土地の医療の破綻を見逃すことはできない。 - マラリア等の熱帯感染症の存在する土地での活動経験。
- 海外における完結する医療を徳洲会が担うことで今後海外に設立される徳洲会グループ運営のために必要な経験や自信を得る。
[本隊派遣準備]
2月27日 日曜日
新井 英和 | 徳洲会グループ専務理事 |
森 孝 | 徳洲会グループ事務副総長 |
桶谷 義一郎 | 白根徳洲会病院 事務局長 |
国連、現地医師会、他の医療支援チームと折衝。
今後の徳洲会グループの医療支援活動、病院復興活動の詳細に関して、打ち合わせの為、ジャカルタ入り。
[先発出発]
3月1日 火曜日
荒幡 信也 | 茅ヶ崎徳洲会病院(現:湘南藤沢徳洲会病院) 調理師 |
現地ではスタッフ用食事提供が必要であり、調理器具・食材確保の為、本隊出発前、先発として、ジャカルタ入り。
[本隊オリエンテーション]
3月2日 水曜日
本隊として参加する16名のスタッフが東京本部に集合。
約二時間、現地での活動や注意事項、インドネシアの風土に関する説明を受けた。
感染症の予防法や、薬品の使用方法、現地での環境の適応、医療機器の使用方法などの議論が交わされ、翌日の出発に備えた。
[本隊出発]
3月3日 木曜日
本隊16名が、成田空港発、ジャカルタ行のJAL便で出発。
大型医療機器(心電図モニター、自動血圧計、12誘導心電計、超音波診断装置、オートクレープ)や医薬品、資材消耗品など、約1トンの器材と共に、移動。
< 参加メンバー > | ||
所属 | 氏名 | 職種 |
---|---|---|
徳之島徳洲会病院 | 宇野 謹子 | 看護師 |
八尾徳洲会総合病院 | 平 文典 | 事務 |
札幌東徳洲会病院 | 小林 真澄 | 看護師 |
沖永良部徳洲会病院 | 國吉 真吾 | 准看護師 |
加計麻徳洲会診療所 | 松尾 敏明 | 医師 |
福岡徳洲会病院 | 萩原 省武 | 薬剤師 |
福岡徳洲会病院 | 中村 清隆 | 事務 |
福岡徳洲会病院 | 手嶋 敏裕 | 臨床検査技師 |
千葉徳洲会病院 | 原野 和芳 | 医師 |
福岡徳洲会病院 | 藤崎 幸枝 | 看護師 |
千葉徳洲会病院 | 加藤 泰之 | 臨床検査技師・看護師 |
大隅鹿屋病院 | 高原 義樹 | 事務 |
羽生総合病院 | 堤 一彦 | 医師 |
茅ヶ崎徳洲会総合病院 (現:湘南藤沢徳洲会病院) |
茂木 理恵 | 臨床工学技師 |
中部徳洲会病院 | 福本 千春 | 看護師 |
松原徳洲会病院 | 山本 彰 | 臨床検査技師 |
3月4日 バンダ・アチェに向け移動。
3月17日 帰国予定(成田空港着7:20)。