西日本豪雨災害
TMAT災害医療活動報告

平成 30 年 7 月 11 日 23:00

第3報

7 月 11 日
【岡山県】
7:30 頃
先遣隊 2 名に加え、高力医師、羽山薬剤師合流。また救急車両にて事務局野口が到着。本日は 5 名で活動する。

9:00 頃
倉敷市保健所にて医療ミーティング参加。本日は高力医師と野口事務局が出席。本日より、災害処方箋の運用が開始されるためその運用ルールについての話がなされた。また、TMAT は本日から本格的な活動を開始するが、岡山日本赤十字チームと一緒に岡田小学校避難所を担当することとなった。

10:00 頃
TMAT メンバー内でのミーティング。昨晩、今回の豪雨により被害が大きかった愛媛県大洲市の避難所の状況が掴めていないとの情報(DMAT 本部経由)が入っていた。倉敷での活動は、医師、看護師、薬剤師で可能なため、栁澤看護師と野口事務局は愛媛県大洲市のニーズ調査を実施することとなった。

10:30 頃
高力医師、西村看護師、羽山薬剤師の 3 名は、岡山日赤チームと一緒に岡田小学校避難所へ向かった。

11:30 頃
岡田小学校避難所に到着。同避難所は約 780 名の住民が避難されている。最も被害が甚大であった真備地区に位置し、当面自宅には帰れない方多い。ただし、日中は自宅の片づけに帰っている方が多く、昼夜の人数に大きな開きがある。

12:00 頃
避難所における診療を開始。途中、安倍内閣総理大臣の訪問があり多くのマスコミが訪れていた。

15:00 頃
7 月 12 日からの第 1 陣メンバーに関して、以下の 5 名に決定した。

鈴木 裕之 医師(福岡徳洲会病院所属)
浅野 昌子 看護師(成田富里徳洲会病院所属)
油江 まき 看護師(福岡徳洲会病院所属)
篠原 裕 薬剤師(武蔵野徳洲会病院所属)
武智 一将 事務(和泉市立総合医療センター所属)

上記 5 名は、12 日 18 時に岡山駅に集合することとなった。

17:30 頃
診療活動終了。27 名の診療を(内科 19 名、外科 8 名)実施した。なお、岡山日赤チームが 17 名の診療を行い、同避難所での診療数は合計 44 名であった。当初、医療ニーズはないとの情報であったが、日中被害を受けた自宅の片づけに出ている避難者が夕方以降に戻ってきた際、熱中症小状や軽い切り傷等の外科系患者が多くみられた。また、高血圧等の持参薬が切れた避難者に対しては、災害処方箋を利用して処方を実施した。また、避難所環境の悪化から、小児のとびひも見られ、対応をした。

15 時 30 頃日赤との合同診療は一旦終了したが、TMAT は 18 時頃まで診療を継続。上記理由(片付けから戻る避難者対応)から、後半の診療数が急激に増加。夕方から夜間にかけての対応の必要性を検討する必要がある。

また、同避難所には岡山県薬剤師会のモバイルファーマシー(車両移動型薬局)が来ており、羽山薬剤師は県薬剤師会と連携して、災害処方箋対応を実施した。羽山薬剤師はモバイルファーマシー内の薬剤管理等も支援したため、県薬剤師会から感謝された。

なお、同避難所では日本看護協会と日本災害看護学会が災害支援ナース等を受け入れ、避難所の夜間対応を実施している。この夜間対応に関して TMAT への協力要請があったため、明日以降調整を行うこととした。

18:30 頃
対策本部の医療ミーティングには、合同で活動した岡山日赤が参加するため、本日は参加しなかった。岡田小学校避難所より直接岡山市内の宿舎に戻ることとなり、20 時頃帰着した。

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診療行う髙力医師

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第 1 陣メンバー
(左から栁澤看護師、髙力医師、西村看護師、羽山薬剤師)

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薬剤師会とも連携(羽山薬剤師)

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モバイルファーマシー

【愛媛県】
10:00 頃
栁澤看護師と野口事務局は救急車両にて倉敷市から愛媛県大洲市向けて出発した。

13:00 頃
愛媛県大洲市役所に到着。危機管理課および福祉医療課の担当者から情報収集を行った。同市は、河川の氾濫により市中心部が水没した。住宅のみならず多くの商業施設も被害を受けている。一部医療機関も被害受けたが、現時点では診療は通常通り継続できている。現在、市内に約 20 か所の避難所に合計約 150 名の住民が避難している。最大の避難所で 48 名であった。市の指定の避難所もあるが、半数以上は地域住民や自治会が管理している集会所での避難所であり、市としてすべての状況を把握できていない様子であった。

13:30 頃
同市で最も避難者が多い平公民館(避難者 48 名)を訪問。給水車や支援物資は多く届けられていた。避難所担当者から聞き取りを行ったところ、この避難所は市の職員が 24 時間体制で対応している。冷房は利用できており、生活スペースもゆったりとれている。また、 断水となっているが下水は使用できるためトイレの利用は可能(水 汲みをして流せば利用可能)。体調不良者は救急搬送にて対応しおり、現時点では持参薬が無くなったことでの相談等はない。医師会病院 の医師等が不定期巡回で来てくれたが、日中は避難者片付けで家に 帰ってほとんどいないため診てもらう人がほとんどいないとのこと。なお、訪問調査時に愛媛県中村県知事の訪問が行われており、多く の取材陣が訪れていた。

14:30 頃
大洲市総合福祉センターを訪問。ここは保健師が常駐している。避難者は 20 名程度であるがボランティアセンター等の受援機能も担っている様子であった。愛媛県医師会、薬剤師会、看護協会からなるチームがおり、本日から大洲市内の避難所アセスメントを実施しているとのことであった。どこも医療ニーズはないとのことであった。

16:30 頃
松山市内にある愛媛県庁医療調整本部を訪問。本日より厚生労働省DMAT のロジスティック専門チームが入っており、統括を開始していた。大洲市内避難所の状況について、地元の医療機関、薬局は機能しており医療ニーズはないと思われるが、避難所の環境や運営について統括する支援が必要ではないかとの報告を行った。県医療調整本部も大洲市内県南部の避難所状況を把握しきれていない様子であったため、今後そのような支援を早急に実施していくとのことであった。

20:00 頃
岡山市内の宿舎に帰着した。

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大洲市内避難所を訪問

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愛媛県庁医療調整本部

事務局担当
野口 幸洋 (NPO法人TMAT/ 一般社団法人徳洲会東京本部)

(文責 事務局 野口 幸洋)
【西日本豪雨災害】活動報告第3報PDF