【 平成18年 6月 8日 13:00 】
医療活動状況
診療数に関しては、後日報告。外科系については昨日より減少傾向。
主な診療内容
- 血糖値500mg/dl。糖尿病。地震により下肢第一指を骨折。感染
局所麻酔で、骨鉗子にて、壊死部を極力切除。後日、断端形成術をする予定。 - 上肢3度熱傷が完全にミイラ化した老人。早晩切断手術が必要。
地域の医療状況
清水医師、萩原コーディネーターは地域の医療事情を視察。
(ジョグジャカルタ周辺のNPOの活動状況と、現地病院の状況を確認する為の情報収集)
中国の国際救援隊のキャンプ
⇒かなり大がかりな迷彩色のテント
仮設診療所を展開していた。
キャンプ内でレントゲン撮影も可能。
公営のインフォメーションセンター
⇒無線LAN対応。
ホワイトボードの死者数・傷病者数は6月3日付の記載で止まっていた。「本日現在の死者、行方不明者数は何名か?」と質問したが、データ集計が不十分なようで、実数は把握できていないようである。
仮設住宅
⇒完成に近づいていた。大きな体育館状の建物で、運営母体は仏教系の団体と思われた。近くで僧侶が一心に読経していた。
ジョグジャカルタ市内の中核病院を数カ所視察
ジャカルタ市内は全く震災の影響を感じさせず、病院の表口は閑散としており、通常の外来業務が行われていた。病棟も空きベッドがあり一見すると終息したかに思われた。
地域最大の公的病院を訪問。大規模な立体駐車場の地下1階と2階が臨時病棟として使用され、現在187名の患者が収容されていた。多くが外傷の患者であり、脊椎や大腿骨骨折の手術待ちで、一日の手術件数は16件とのことであった。
通常の業務と災害医療を完全に別ユニットとして扱う災害医療体制が整った病院と思われた。
*現地の情報として、ジョグジャカルタは活火山ムラビ火山の噴火に備えて災害に対する心構えが普段からできている街だという。この地下臨時病棟が閉鎖され初め、災害医療の終息といえるのだろうか。
ジョグジャカルタ市内の病院。地下駐車場の入院風景
- インドネシア看護協会の方々がクリニックを訪問。
明日ジャカルタから20名の看護師がバントゥルに派遣されるという。
彼らは訪問診療を中心に活動するとのことである。
活動拠点のクリニック理事長との面談
今回プラスチックギプスを大量に持ち込んだが、インドネシアでは未だ石膏ギプスが主流と聞いている。電動ギプスカッターがないと扱いづらいと思うのだが、これを寄付することをどう思うか。
外来患者の中にもかなり重傷な患者がおり、いずれ根治的手術を行う必要があるものも何人かいる。特に整形外科領域なので、感染症の予防という観点から、緊急でなければ後方病院で手術をお願いした方がよいと思う。入院患者もかなり退院させたが、なかには傷病がすでに治っているにも関わらず住居が崩壊したため帰れない人がいる。(意外とジャワは核家族が多いのだそうだ)
今後の方向性として
- 電動ギプスカッターに関しては、寄贈するか事務局で検討。
- 治療継続が必要な患者さんは、TMAT撤収後は適当な施設に振り分ける
- 仮設住宅の建造を急ピッチで進めている最中。それまで行き場のない人をクリニックで療養を続ける。
*現地の医療需要が落ち着き始めました。
活動中の第2陣以降の現地派遣は、見合わせております。
多数の方々に参加のお申し込みを頂き、誠にありがとう御座いました。
(文責 事務局 ㈱徳洲会 吉 紀三)