2020年九州南部豪雨(熊本県)
TMAT災害医療活動報告 第10報

2020 年 7 月 14 日 23:00

第10報

昨日の避難所での新型コロナウイルス陽性者(支援者)発生を受けて、本日TMATとしては朝の医療調整会議(保健所)及び多良木高校避難所内ミーティングに最小限の人数で参加し、今後の支援について協議することとする。

8:00
海老澤調整員が人吉保健所での医療班調整会議に参加の為宿舎を出発。
佐藤看護師と鵜澤救急救命士も多良木高校の朝の会議に出席するため出発。避難所の今後の方針把握のため、佐藤看護師のみ参加し、鵜澤救急救命士は車内で待機する予定。
古森看護師と小坂看護師は宿舎にて待機。

8:30
医療班調整会議(海老澤調整員参加)

  • 前日の香川県からの支援者のコロナ発生により、支援チームの活動見合わせが多数見受けられた。
  • 人吉保健所としては、ガイドラインに則り、濃厚接触者は、一緒に勤務していたあるいは昼食をとった香川県保健師チーム5名(活動を共にしていた保健師)と判定、避難者へは希望制でPCRの実施を行うこととした。

※多良木高校に避難されている方々も夜間に PCR を実施し、かなりの不安があったと想定される。

9:00
佐藤看護師と鵜澤救急救命士が多良木高校へ到着。到着と同時に、佐藤看護師は現地で指揮を執る長崎県担当者から発熱者の対応を依頼される。現地の職員の方々は、コロナ問題発生後、医療支援者が撤退してしまったことへの不安があったと見受けられ、TMATが到着すると同時に、数名の患者相談を依頼された。その後、鵜澤救急救命士とともに発熱者の対応を実施し、鵜澤救急救命士同乗のもと患者は病院へ搬送された。患者は結果PCR陰性であり、熱源は他の疾患であったことが診断された。た。

10:00
多良木避難所での支援ニーズが増加していることから、宿舎で待機していた、古森看護師、小坂看護師も避難所へ向かう。処方の相談や外傷患者への対応を行った。

新型コロナウイルス陽性となった保健師が使用していた部屋はTMATチームも共用していため、次亜塩素酸ですべて清掃し部屋の環境整備を実施。壁際に個々の椅子とテーブルを設置し密を避ける工夫をする。また、ゾーニングやPPEの着用がスムーズにできるような整理整頓用のBOXの設置を午前中に行う。また、WHOの手指衛生方法、5つのタイミングの徹底を確認した。昨日避難者に実施したPCR検査は合計で217件で、すべて陰性だったとの情報が入る。ただし、今後は発熱者への対応に関しては、フルPPEで対応することとする。また地元職員や、DHEATとのミーティングの結果、宿直の依頼があったため、今晩より宿直を再開することとした。

15:30
避難所ミーティングを実施。現地の職員より、救急車を呼ぶ基準などに不安があることを伝えられたため、救急車を呼ぶ手順を佐藤看護師、鵜澤救急救命士で作成。古森看護師、小坂看護師も確認の上、現地の職員の方へ提案する。

16:00
処方薬が切れている避難者の方が増えてきたため、古森看護師、小坂看護師が近所のクリニックへ連絡。クリニック医師が処方し、薬を配達してくれることとなる。配達の必要のない方は原則自身で直接取りに行く必要があるが、お薬手帳持参処方詳細がわかればok)とPCR陰性の確認が取れた方が対象。費用は薬を渡す際に支払う形となる。

18:00
人吉保健所の医療班調整会議(海老澤調整員参加)
DMAT、日赤、DHEAT等の支援団体は、来週末まで現在の体制で支援を続ける予定とのこと。DPATは、今週末で撤退予定。
TMATとしても、現地で支援を続け、14日・15日と看護師の当直を行いながら今後地元だけで対応できる体制がみえた段階で医療支援本部と意見交換しながら撤退の時期を決めると伝える。

19:30
佐藤看護師、小坂看護師、鵜澤救急救命士、海老澤調整員が宿舎へ到着。感染対策の為夕食は個別で摂る。
本日の宿直は古森看護師が担当する。


明日は佐藤看護師、小坂看護師、鵜澤救急救命士は9時の多良木高校ミーティングに参加する為8時過ぎに出発、海老澤調整員は8時半の人吉保健所での医療調整会議に出席予定とし、本日の活動を終了とした。
今後も感染対策を徹底し、支援を続けていきます。

救急搬送対応をする鵜澤救命士

休憩室の清拭消毒と環境整備

密を避けた座席配置

PPE収納BOX

事務局担当
野口 幸洋 (NPO 法人 TMAT / 一般社団法人徳洲会東京本部)
阪木 志帆 (NPO 法人 TMAT / 一般社団法人徳洲会東京本部)
文責 事務局 野口 幸洋
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