3月7日(現地時間)

9:00頃より診療を開始し、AM12:00まで診療を行った。

本日は日曜日ということでミサ(キリスト教徒が多い様子)に行っているせいか午前中の出足は鈍かったが、昼前より多くの患者が来院された。腹痛、頭痛、下痢など震災のストレスによる内科系疾患が多くを占めたが、一度治療を施した外科系疾患の再診患者も来院され、治療(消毒・包交)をおこなった。 また、右前腕部腱断裂の患者に対する腱縫合の手術を高力医師が執刀をした。

アメリカTNEというマスメディアの取材を受ける。

同病院の本日の体制は医師1名(内科医)であったため。TMATチーム外来を担当することにより多くの患者の診療にあたることができた。

[診療内訳]
男性38名 女性31名
外科13名 内科49名 小児科7名  計69名
(10代未満8名 10代15名 20代5名 30代8名 40代8名 50代8名 60代12名 70代5名)

この日の午前、河内医師と佐藤コーディネーターはサンファン病院から南へ1.5kmほどの場所にあるエスタシオン病院というクリニックを訪問し病院長から情報収集を行った。震災直後は多くの患者が来院したが、現在は落ち着き通常診療に戻りつつあるとのこと。また、重症患者はこの街があるマウイ州の州都タルカに搬送されているとのことであった。

[新聞記者からの情報]
発災直後からコンセプシオン入りをしていた日系の新聞記者とコンタクトがとれ、情報収集を行った。

  • コンセプシオンの治安は悪化しているが、報道されているほど建物の倒・損壊、治療が必要な被災者が多いわけではない。
  • コンセプシオンでは治安悪化により大部分の医師や看護師が病院に出勤しておらず、病院は大混乱をしている。こうした状況からチリ政府は国連を通じて再び国際的医療支援を受け入れる方向で調整しているとの情報がある。
  • 記者が見た中での街の被害状況としてはコンスティトゥシオンの津波被害が一番大きかった。
  • TMATが現在活動しているカウケネスは震源地から近いにもかかわらずマスコミの報道はほとんどなく、一番被害の大きかった街ながら見落とされている地域の可能性がある。

今回の災害はハイチのような震災による医療需要は少ないものの、震災による治安悪化や医療従事者自身が被災者でもあることが原因で医師看護師不足になっている。このことで医療供給が減少し相対的に医療需要が増加したという特殊な災害といえる。また、TMATチームが活動拠点とした場所は街の4割が倒・損壊しているにもかかわらず報道機関から注目されていない地域であることがわかった。

事務局担当橋爪 慶人 岸和田徳洲会病院 医師 TMAT理事
原野 和芳 四街道徳洲会病院 院長 TMAT監事
野口 幸洋 四街道徳洲会病院 管理栄養士 TMATベーシックコースサブチューター

(文責 事務局 野口 幸洋)