2020年九州南部豪雨(熊本県)
TMAT災害医療活動報告 第3報

2020 年 7 月 7 日 23:00

第3報

【多良木高校 宿直:浦部医師、西原調整員】
多良木の夜間宿直は浦部医師、西原調整員。診療依頼は無し。
20 時から避難所入りをした球磨村役員への運営支援を行った。組織や連絡系統の
整理、物品の管理、名簿作成、掲示板作成、ゴミ集めとゴミ捨て場の整備などを行う。

【人吉第一中学校 宿直:鈴木医師、和田看護師】
21 時頃、体育館を消灯。食事と休憩の後に、車中泊の人数把握。
10 名ほどが車中泊をしていたため、明朝に声かけを行う。
和田看護師が高齢者のトイレ誘導介助、泥だらけの車椅子の洗浄、通路の整備などを
行った。鈴木医師は 1 名の外傷処置を実施。深夜は保健師 2 名と交代で高齢者のトイレ介助を継続。

午前 3:00 頃 避難所内で急病人が発生し救急要請。鈴木医師が救急車に同乗して人吉医療センターへ搬送。

7 月 7 日
【人吉第一中学校】
6:00 頃
活動開始。車中泊の人に水分を配布しつつ DVT 予防の注意点などを説明。資材の整理などを手伝う。

7:10 頃
ラジオ体操を実施。和田看護師が体育館の中心に立ち、子供達と共にラジオ体操を誘導した。

7:30 頃
坂元医師、川添看護師は宿舎を出発して人吉へ向かう

8:00 頃
避難所内ミーティングを実施。

9:00 頃
鈴木医師は地域医療調整本部のミーティングに参加。2 つの避難所の当直帯の状況を説明。
段ボールベッドとパーテーションのオーダー、多良木高校への保健師の増員を依頼した。
また多良木での処方ルールを確認した。会議の場で、多良木高校は TMAT が重点的に入ることを依頼されたため了承した。

10:30 頃
鈴木医師と川添看護師は多良木高校へ向かう。
坂元医師、和田看護師は DMAT 隊員と協力して福祉避難所への移動候補者のリストアップを実施。

12:00 頃
避難所設営中、数名の避難者診察依頼あり。うち 2 名は救急搬送が必要であったため八代医療センターへの救急搬送を調整。
その間支援物資にてパーテーションが15個到着したため、地域住民へ協力を依頼し、設営を依頼。
形式に関してソーシャルディスタンスの基準を理解していただく。
またその15箇所のスペースへの移動に関しても球磨郡診療所の事務員に医療状況を考慮しつつ、リスト作成、
避難者の移動を依頼した。福祉避難所へ移動する避難者、施設への調整も行い、3名移動することが決定した。
また移動手段として日赤救護班にも明日協力いただくように依頼。

15:00
医療センターより往診ドクターが来中。避難者への内服処方を保険診療で開始。

17:00
自衛隊による浴槽も準備あったため、和田看護師に入浴介助の依頼があり実施。
医療チームとして熊本日赤チーム、AMDA も避難所支援に加わった為、情報共有とし、今後の避難所運営に関して協議。
熊本日赤チームより今後は第一中学校で活動していくと提案があったため、TMAT は快諾とした。

18:30
医療調整会議が八代医療センターで行われ、TMATとして第一中学校での活動を熊本日赤、AMDA へ引き継ぐことを報告。
今後は多良木避難所で避難所支援を行っていく旨を報告とし、そのまま多良木避難所へ移動。
ブリーフィングを行い、本日の宿直は坂元医師、川添看護師にて担当とした。

【多良木高校避難所】
8:00 頃
浦部医師、西原調整員は多良木高校で全体ミーティング。県
職員が 2 名到着予定。医療班も到着すると思われるため、昼前に再度ミーティングをする方針とした

11:45 頃
TMAT4 名(鈴木医師、浦部医師、和田看護師、西原調整員)熊本県保健師 2 名、村役場、県職員、多良木町ボランティアでミーティング。
食料の確保ができないため、ボランティアに炊き出しを依頼することとなった。
人吉保健所からの保健師が合流するため、午後から医療チームで巡回する予定とした。県職員、村役場職員と一緒に運営体制を整える。生活必需品が整わない件を、鈴木医師より人吉医療調整本部へ報告。

13:45 頃
避難所に段ボールベッド到着。搬入作業の先導。避難者とボランティアの子どもたちと共に各教室に段ボールベッドを設置する
ための先導と支援を実施。

15:00 頃
熊本県保健師、人吉保健所保健師、鈴木医師、川添看護師で避難所全体を巡回。
要支援者の聞き取りとリストを作成し今後の方針を調整する。

16:00 頃
鈴木医師撤収。西原調整員が運転する救急車両にて熊本駅へ向かう。そこで橋本薬剤師と合流予定

16:30 頃
多良木高校の全体ミーティング実施。それぞれチームの活動内容について報告。
TMAT から本日 2 名宿直し、明日以降も継続して支援に入ると報告。
全体的な問題として、運営の主体や指示連絡系統が不明確であり、県と村、多良木町も含めて相談中。
8 時から全体ミーティングをすることとなる。

18:00 頃
AMDA から 2 名の訪問がある。施設アセスメントのため、避難所配置を案内。
今後は鍼灸対応のため検討にはいるとの事。ボランティアの炊き出しによる夕食。
炊き出しのための施設への確認、保健所からの衛生確認の調整、ボランティアと運営本部の連携などを支援した。

18:30 頃
熊本県庁医療調整本部を訪問。DMAT 近藤久禎事務局長などが対応してくださった。
TMAT から人吉・球磨地域の状況について説明。TMAT が避難所立ち上げや当直を請け負ってくれたことなどを評価いただく。
本日をもって鈴木医師の活動は終了とし、明日早朝の新幹線にて福岡徳洲会病院へ帰院する。また、橋本薬剤師が熊本駅で合流。西原調整員と共に宿舎へ向かう。

19:00 頃
巡回時に訪問依頼のあった 2 名を診療し、処方実施。また小児の診察依頼もあったため実施。

20:00 頃
球磨村役員交代。引き継ぎのためにリーダーと情報共有。
明日からの本隊第1陣の到着へ向けて TMAT 控え室を確保、清掃。村役員の休憩場所などについても提案した。

22:00
西原調整員、橋本薬剤師が宿舎へ到着。

22:30 頃
宿直担当である坂元医師、川添看護師とブリーフィングを終え、浦部医師・和田看護師が宿舎に向けて出発。

0:00 頃
浦部医師、和田看護師が宿舎へ到着。明日は 7:00 に出発し、朝の医療調整ミーティングに参加予定として本日の活動を終了とした。

【本隊第 1 陣】
本日熊本入りする予定でしたが、九州地方は昨日から断続的な激しい大雨の影響により、
九州新幹線が鹿児島中央―熊本間で始発から運転見合わせ。九州自動車道も福岡から熊本に向かう区間や長崎県内の区間で通行止めが発生。その為、急遽予定を大幅に変更となりました。

1.メンバーの変更
長崎北徳洲会病院 西村俊謙看護師が昨日からの大雨により移動ができなくなったため、東大阪徳洲会病院 上國料一康看護師が参加となる

2.スケジュール変更
本日現地入りする予定であったが、新幹線運行状況により、當麻医師・合田医師・上國料看護師・伊藤看護師・武智調整員は博多駅で合流。
明日福岡徳洲会病院からレンタカーにて、事務局から届いた物資をもって現地入りする予定。
橋本薬剤師は当初より熊本空港経由で現地入りする予定であった為、熊本駅にて本日撤収する鈴木医師と交代で現地入りする。

また、メンバーには全員、感染対策上のチェックリストに加え、全員 PCR
検査を実施、陰性を確認して現地入りする。

【先遣隊】
悪天候により本隊の到着が明日となる為、本日撤収予定であった川添看護師、和田看護師、西原調整員は明日まで活動を延長することとなる。
鈴木医師は夕刻県庁本部に挨拶したのち熊本駅から新幹線にて撤収する。

急病人を救急搬送。鈴木医師同乗

ゾーニングされた体育館 ラジオ体操

人吉第一中学校 診療の様子

多良木高校 診療の様子

事務局担当
野口 幸洋 (NPO 法人 TMAT / 一般社団法人徳洲会東京本部)
阪木 志帆 (NPO 法人 TMAT / 一般社団法人徳洲会東京本部)
文責 事務局 野口 幸洋
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